モモンガくらぶ

まっくろ森を歩く。 鉱山録vol.38より

ある日、登別在住の友人から「申し込むべき!」とのお誘いが。 「大人が学べて遊べるプログラムなんです」。そんな彼女の猛烈アピールが効き、よく状況が飲み込めないままKoNGに申し込みました。札幌から参加しているのは私くらいで一瞬ひるみましたが、なんとまあ、これが忘れられない体験となり、今につながっています。
ワタクシ、基本はインドア派なのですが、人一倍の好奇心を満たしてくれるネイチャーガイドの講習は毎月のお楽しみとなりました。登別駅で毎月ホームから撮った景色は春、夏…そして秋に変わり、講習も終盤。最後の課題は実際にゲストを集めてガイドをすること。我々「生きものチーム」が案内するのは「夜の森」に決定。コーザンでコウモリに出合い、その感動をどうにか伝えたいと思ったのがきっかけだったと記憶しています。

「夜」を歩く。通常はライトを点けるのが当たり前ですが、打合せを重ねた我々が求めたのはライトのない本当の夜。危険と思われる箇所だけライトを点けて誘導します。まずはコースの下見。候補箇所をいくつか歩きました。ひぇ~、予想以上の暗さ。まっくろ。本当に見えない。正直足がすくみます。でも、だんだん目が闇に慣れてくると感覚が敏感になり、夜行性の何かが発する音をキャッチすることもありました。エゾタヌキの溜め糞場では、しばし立ち止まって夜の森に溶け込みます。フィー…ヨー…。遠くにオスジカがいるようです。川では、虫を捕食にくるコウモリ探し。川の流れってこんなに大きな音だっけ?昼に見ておいたコースも夜はまったく表情が違いました。
告知チラシのコピーに「五感を研ぎ澄ます」と書いたのですが、まさにみんなの体感から出た言葉。そして一番感じたのはワクワクを上回るドキドキ感。日常では忘れてしまった恐れとでも言うのか。ほら、夜中のトイレが怖かった時のような。たぶん野生動物たちは、常日頃そんな五感をフル活用しているのでしょう。さて、そのガイド実習ですが、なんと当日は雨。室内プログラムに変更です。スタッフのみなさんにもたくさんアドバイスしてもらいましたね。おかげさまで雨も含めて収穫の多い体験となりました。ありがとうございます。
一歩足を踏み入れたガイドの世界。現在ガイド修行は出来ていませんが、その後の生活や仕事にたくさんのヒントを与えてくれています。また近いうちに訪ねよう。きっとまた、好奇心を満たしてくれる出会いがあるんだろうな。

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新岡薫

北海道の野生動物をテーマに絵と文を描いて書くイラストレーター。現在は東京在住ながら道内取材に来道する日々。その仕事の成果は特急の車内誌「JR Hokkaido」等にてぜひご覧ください。KoNG(7期生)参加のおかげで興味が増し、胆振管内の取材も多くなりました!札幌出身。
http://etobunshainyezo.blogspot.jp/

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