私が初めてふぉれすと鉱山を訪れた時、2つの生まれてはじめてを体験しました。一つは、川遊びの体験プログラムに参加したとき、目の前にあるもので遊びを見つける楽しみです。河原に転がっている石も、石積みの堤防も、スタッフの一声で、山にあるものが、たちまち、クリエイティブで、なかなか攻め落とせない、奥の深い遊び道具へと変身していったことです。
やがて自分でも見つけられるようになる。これがもう楽しい。自分の中に秘められた創造力が引き出される快感。もう一つは、ふぉれすと鉱山に集まる子ども達の可愛いこと、可愛いこと。はじめての大人に対しても何も臆することなく、こちらの懐にどんどん入ってくる。こうなってくると不思議と人様のお子さんでも本当に可愛い。可愛いからこそ、この子たちに対してなら怒ることも躊躇なくできそうだった。こんなに社会性のある、すなわちコミュニケーション能力の高い子ども達に出会ったのは初めてのことでした。
私は、神奈川県西部、箱根のお膝元、小田原・足柄地域で暮らしています。もともとは兵庫県の出身ですが、小田原・足柄地域にすっかり魅せられてしまい、関西から両親を呼び寄せ、3年前に完全に移住しました。2年少し前から地元の有志と共に「小田原足柄異業種勉強会(おだあし勉強会)」という市民グループを立ち上げました。地域を愛し、地域と自分たちの商売の発展を願う人達が集う会です。この会には実に様々な職業の人達が集まっています。おだあし勉強会という「場」があったから、これまでの暮らしでは出会うことのなかった人達とたくさん出会うことができました。いろいろな人達が集まるとおもしろいですよね。一つ話題をふっても、様々な反応が返ってくる。そしてそのグループは強いですよね。何か困ったことがあると、誰かが答えを持っている。
ふぉれすと鉱山にも実に様々人達が集っていますよね。しかも様々な表情を持っている多様な自然との向き合いがある。この多様性に溢れたふぉれすと鉱山という「場」が、鉱山のスタッフとボランティアさんの力も加わって、ここに集う子どもたちや大人達の持つすばらしい力を引き出しあっているのではないでしょうか。このような人達が、子どもから大人までたくさんいる登別という街の未来は本当に明るいはずです。企業でも街づくりでも最も大事なのは「人」だと思いませんか。いい国をつくるには、いい街の暮らしが国中にないとできません。いい街をつくるにはいい「人」がいないとできないのです。私も日本という国を、いい国のまま次の世代に引き継ぎたいと思っています。だからこそふぉれすと鉱山という「場」でこれから起きていくことに、ずっと注目していきたいですし、私の住む町でもふぉれすと鉱山をお手本に、このような「場」づくりを是非していきたいと思っています。
profile=======================
中村壯一郎
兵庫県出身。現在は神奈川県西部に完全移住。2010年7月に北大との共同研究会のメンバーとなり初めてふぉれすと鉱山を訪問。現在は航空業界のコンサルの傍ら、神奈川西部の地域活性化に取り組んでいる。