モモンガくらぶ

2013年11月 のアーカイブ

みんなでつくるみんなの子育て 鉱山録vol.32より

 少 し前までの子育てには、ご近所ぐるみで子どもたちの面倒をみるといった人間関係が見られました。そのような濃密な関係も、今では少し煩わしさを感じるようになり、次第に希薄になってきました。子育てには大変良い環境であったご近所付き合いは、少々面倒な関係性の維持という努力の土台があって初めて成り立っているのです。
 ” 子どもはみんなで育てるもの ” といった考え方は今では通用しないのでしょうか。子育ての先輩や、今自分と同じように育児に専念しているお母さんが近所にいるのに、気さくにお話しや相談事などができずに戸惑い悩んでいる人がいるのです。だからこそ、地域社会の中で安心して子育てができる体制づくりが 求められています。昔のご近所付き合いのような関係を踏襲した新しい相互扶助の関係をつくることが地域社会の課題となっています。
 しかし、このような地域の課題を認識していながら実践で成果を出しているところは全国的にも数少ないのが現状です。そんな中、私は新しい人と人の関係がある、ふぉれすと鉱山に興味をもち、実践の現場を見るために訪れました。ここで私が経験した様々なことから生じた好奇心や探究心は、豪華な施設や華美な演出からではなく、鉱山の日常そのものから生まれていました。
 では鉱山の日常は、普段の日常生活となにが違うのでしょうか。自然がたくさんあるということだけではなさそうです。 スタッフやボランティアと、子どもと保護者が個々に合った答えをみんなで知恵を出し合ってカタチにしていこうとする。その関係性は日常生活にはない、普段とは違う関係なのです。そしてその関係は新しい相互扶助のおつきあいでもあるのです。
 ふぉれすと鉱山のさりげない日常に組み込まれた人材育成の土台が気づきや学びを生み行動をおこさせる。さらにその延長線上には、扶助され、かつ扶助するということがセットになった人間関係が醸成されていく。そしてそこには必ず、鉱山にかかわった人たちの大切にしているマインドがあると実感しました。そのマインドとは、ふぉれすと鉱山のスタッフ、ボランティアが大切にしている ” みんなでつくるみんなのくらし ” です。これを、たくさんの人に伝えて、大きなエリアに拡大してゆくことを私は切に願っています。

profile=======================

田辺 達也
 
札幌生まれ。 社会人学生として北海道大学大学院国際広報メデ ィ ア ・ 観 光 学 院 に て 学 ぶ 。2008 年にふぉれすと鉱山を訪れ積極的参加についての調査を行う。 現在、 札幌厚成福祉会第二保育所副所長を務める。

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