Q.ところで、みなさん「アウトドア」の「ドア」ってどこの「ドア」だと思いますか?
A.学校の教室の「ドア」のことなんだそうです。
「ティーチング イン ザ アウトドアーズ」*という本の中に書かれ、教室の外で学ぶことの大切さを教えてくれた本です。私が教師なろうと考えたきっかけとなった本でもあります。
私は小学校の教員をしています。野外の仕事に携わりながら野外教育と学校教育が融合できないものか・・・と考え、日々子どもたちと関わりながら子どもたちの学びを育んでいます。
教室で学ぶことは、確かに大切です。学校とか、教科書、あるいは教師が、この世にまだ存在していなかった頃から直接体験を通して、ものを教えていくという方法は、人間の創り出した文化を次の世代へと伝えていく方法としてごく自然に行われてきたことです*。私もその本来人間が行ってきたことを活用することでさらに学びを深めることができないかと考えています。
私は、ふぉれすと鉱山に行くといつもそう感じます。小学校の校舎を活用した建物を見るたびに「鉱山町の物語を今の世代に語り継いでいるんだなぁ」と。
校舎の中にある展示物、教室を活用した図書室、スタッフリーム、そして温かみのある木造校舎。
この校舎から子どもたちが野山を駆け巡り、自然と教育がいつも隣りあわせだったことを思うと、当時の子どもたちがうらやましとさえ感じるからです。
スタッフやボランティアさんたちのおかげで、多彩なアクティビティを通して、子どもたちや大人が心や体をリフレッシュしながら体験を行っていく。本当に目を輝かせて活動している参加者の姿を見ると、ここが小学校だったらいいのになぁと感じます。ふぉれすと鉱山の校舎から一歩踏み出すイメージこそ、アウトドアの「ドア」なのかなぁと思います。
子どもたちは、学び方や環境がいつも同じだと飽きてしまいます。しかも小学校での野外活動は、理科学習で学習することや小学校高学年での林間学校や修学旅行での体験学習ぐらいしかありません。学び方を工夫するだけで子どもたちは自分事としてとらえることができ、さまざまな思考を働かせて、互いに協力し合いながら課題と向き合い解決していくことも大切なのです。
ふぉれすと鉱山の「ドア」が、ここに携わるすべての人の新たな学びの一歩を踏み出す「ドア」になってくれたらと願っています。
*D,R,Hummerman.(1985).ティーチング イン ザ アウトドアーズ~なぜ教室の外で学ぶのか~.杏林書院.p.1
profile=======================
正武家 重治(しょうぶけ しげはる)
札幌市立中央小学校 教諭
山梨幼児野外教育研究会所属
1968年、北海道札幌市出身
山梨大学で野外教育、アウトドアレクリエーションを専攻、北海道教育大学大学院で臨床心理学を専攻し、1996年から小学校教員。2009年より現職。