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‘リレーコラムfrom鉱山録’ カテゴリーのアーカイブ

記憶と縁 鉱山録vol.22より

《ことしは勤めにそとへ出てゐないひとは    みんなかはるがはる林へ行かう》

ここから直線距離で25kmばかし南東にある鉱山町。伊達市までとあんまり変わらないが、実際に行こうと思うと噴火湾沿いを70km走らねばならず…。

そんなこんなで、前々から一度「遊び」に行きたいと口に出してはいたものの、実際に足を運んだのはつい2年ほど前。それも「遊び」ではなく、「えぞCONE」の打ち合わせで。

あ、いやいや、そういえば、今から15年ほど前、この地を訪れたことがあったんだ。
鳥のやうに栗鼠のやうに   そんなにさはやかな林を恋ひ

 足を運んだ理由は忘れてしまったけれど、さる方の案内で川又温泉までの道(沢)を、靴を濡らさぬことだけに神経を使って歩いた記憶を、鉱山町へ向かう道中で見た切り岸が、するすると引き出してくれた。あそこにはハヤブサがいたんだっけな。あの頃はもちろん「ふぉれすと鉱山」は産声さえも上げて無く、あたりがどんな景色だったかも定かではない。でも、その場所にも自分にもいろいろな時間がめぐりめぐって、互いに再び繋がるというのは、偶然なのか必然なのか、それとも運命なのか。

噴火湾のこの黎明の水明り
室蘭通ひの汽船には  二つの赤い灯がともり
   東の天末は濁つた孔雀石の縞
   黒く立つものは樺の木と楊の木

今から85年ほど前、石や森や星や鳥を愛した宮沢賢治が辿った道は、洞爺と登別を結ぶ道でもあり、賢治好きな自分にはますます不思議な縁に感じられたりして。そんなもろもろ含めてこれはもはや宿命なのだ、70kmの道のりを25kmに思えるくらいに足繁く通い合う仲になっていきたいものだ、と暖かな日差しの中でつらつらと考える次第。
これからもよろしゅうお願いいたします。

※文中の詩は、宮沢賢治「噴火湾(ノクターン)」より抜粋。

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鈴木利典
洞爺財田自然体験ハウス

生まれ:愛知県(でも本籍は富良野)。
最近:遠近両用になった。体重が減った。白髪が増えた(=そんな年になった?)
大学を出てからこれまでずっと、自然に関わる仕事ばかりを続けてこられました。これも人の「縁」のおかげ。この縁を次世代へと続けていくの
が、今の自分の役割と思って仕事しています。

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